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2014年9月9日火曜日

動物園のマレーグマ at 天王寺動物園

動物園ゆえの悩みなのです

本日、動物園・水族館ニュース 日刊 Zoo Ring を編集していて気になったのがこちらの記事です。
マレーグマ。Wikimediaより。著作権情報
Wikimediaからもってきた写真、下から撮っているので迫力があるように見えますが、マレーグマは実際は小柄で、大型犬よりも一回り大きく見えるくらいです。体長だけでいくと、大型犬より小さいことになります。
現地では、ペットにされることもあるくらいです。

このマレーグマ、日本各地の大きな動物園なら飼育されています。
北海道なら円山動物園、東京なら上野動物園、九州なら福岡市動物園や平川動物公園といったあたりです。

動物園の動物は、いわば人間の生活空間の中で暮らしているわけで、野生ではありえないストレスに悩まされることがあります。

そんなストレスの一つを克服するのに天王寺動物園がどういう工夫をしているのか、その第二報が今回のブログの記事です。

天王寺動物園のマレーグマは、園内で職員の方が荷物を運ぶのに使用しているターレットという乗り物の音を過剰に警戒しているのだそうです。

だましだましです

ちょっと大きめの動物園に行くと、園内をターレットが走っています。
上野動物園とかで見かけるのは電動式で、機械自体はそこそこ静かなはずなのです。が、モーターのみならず、結局、載せている荷物などがガチャガチャ音を立てるのでにぎやかなことに違いはありません。

私たちはターレットにひかれさえしなければ大丈夫だと分かりますが。
ターレットを知らない動物からすれば、力持ちの怪獣に見えてしまうのかも知れませんね。

かといってターレットを使わないわけにはいかない、ということで、マレーグマにターレットの音に慣れてもらおうという方向で対策されています。

具体的には、エサとセットにするという方法です。
ターレットの音がしたらエサを与えるようにして、ターレットにいい印象を持ってもらおうという作戦です。

今のところ、これはうまくいっているようで、その様子が昨日のブログ記事になっていました。

当たり前を振り返るチャンスです

私たちが当たり前と思っていることも、動物にとってはとんでもないインパクトだったりするものです。

動物園に行って私たちが当たり前だと思っていること。その一番は、そこに動物がいることです。
これは動物たちにとっては大変なことなのだろうと常々思っています。

私たちから見れば、動物園の動物はとても安全な空間の中にいます。
けれども、当の動物たちはそれを知りません。

毎日のようにヒトがやってきて、自分たちのほうをじろじろと見ていく。
いくらトラが強いといっても、日曜日の上野公園の人だかりと比べたら、多勢に無勢です。
トラが、「もしも襲われたら逃げ切れない!」と思っていてもおかしくありません。

動物園の動物は連日、そのような状況に置かれているのです。
もっとも、それが、野生下で生きるストレスとどちらが過酷なのか、私たちは知る由もありませんが。

そこで、ちょっと気のきいた動物園なら、動物に隠れ場所を用意してあげたりしています。
「動物が見にくい」というのはそういう事情もあるのです。

もちろんそういった対応だけでなく、動物園という環境に動物を慣らしてやるという対応もとっています。
今回の天王寺動物園が端的な例ですね。

そうして慣れた動物たちは、理屈は分かっていなくても、動物園は安心なところだと理解し、ヒトの前で堂々と昼寝をしたりするようになるのです。

今の動物園は、単に動物を展示するために作られた物理的空間というだけでなく、そういったソフト面でも「作られた」空間になっているのです。

動物園に行くと動物が寝てばかりいる、と思っている人も多いかと思いますが、それはそれでとてもすごいことなのですね。

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